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ご無沙汰しております!いかがお過ごしですか? 今回は、コウの話です。新刊(『黎明に琥珀はきらめく』)を微妙にネタバレしてます。まだ読んでいらっしゃらない方はお気を付けてくださいo(^-^)o 『通り雨』 自分の摺っている墨の匂いに交じって、微かに雨の匂いがすることにコウは気付いた。 雨が近づいているらしい。 ユリノキを中に入れなくちゃと、コウは机を離れ、ウロウロとさ迷いながらやっとの思いで中庭へ出た。 ポツポツと、地面に小さな染みが、点々とつきはじめている。 コウは慌ててユリノキの鉢を抱えて、そうしてふと、空を見上げた。 ―まっていてね。 誰かにそう言われた気がして、いや、いつか誰かにそう言ってもらえた気がして、その声を、記憶を追うように探すように、空を視線が辿る。 ―かぜをひいてしまうから、ぬれないように、まっていてね。 うん、とコウは微かに頷き、ユリノキを大事に抱えて、またウロウロと部屋を目指した。 「あんまり雨に当たると、ユリノキも弱っちゃうよね。れいしん様の大切な木なんだから、ぼく、絶対に大事にするよ」 雨から袖で木をかばって、コウはユリノキに囁きかける。植物に話しかけるとよく育つらしいと聞いてからは、こっそり話しかけるようにしているのだ。 あなたも、ずっと、わたしたちのたいせつなこども。 明るい曇り空に、微かに鳥の羽音がした。 (終) |
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